東京,五輪招致リオと一本化へ 新宿発経済危機が影響?
東京都の石原シンタロー知事は1日,2016年の夏季オリンピックの招致について,リオデジャネイロとの一本化を模索する方針を固めた.午後の記者会見で発表する.
この背景には,昨年6月にIOCが公表した市民の支持率調査で,東京は候補都市の中で最下位となるなど,他都市に比べて東京の世論が盛り上がっていないことがあげられる.
このほか,東京都が出資する新銀行東京(東京・新宿)の処理問題も深刻な影響を与えている.都は新銀行設立時に1000億円を出資し,昨年も400億円の追加出資を迫られた上,その回収の見込みはまったく立っていない.先月には東京のNPO法人から住民監査請求を起こされるなど,「もうオリンピックどころじゃない」(都幹部)状況だ.
リオとの一本化が実現すると,五輪はリオと東京の共同開催となる.サッカーの一部試合を東京や埼玉で実施する他は,リオで実施する計画だ.五輪が2カ国での共同開催となれば,「前代未聞の快挙」(IOC幹部)になる.
ブラジルの経済成長は目覚ましく,インフラの整備なども非常に進んでいるが,公衆衛生や貧困対策といった途上国特有の問題も立ちはだかる.治安の問題も改善されたとはいえ,東京には遠く及ばない.
このため都では,下水道や公共交通の整備,ディーゼル規制などによる大気汚染の抑制などのほか,警視庁から職員を大量に派遣するなど,テロ対策や犯罪防止のノウハウを全般に提供することとしている.
シンタロー知事は本紙の取材に「本当は東京でやろうと思ってたけど,新銀行がこれ以上貸せねぇっていうんだ.こりゃだめだね.」と漏らすなど,オリンピック招致をめぐり弱気の発言が続いていたが,「俺ぁもう負けたよ,東京マラソンにあわせて屋外招致イベントをぶち上げようと思ったら雨と強風でことごとく中止になっちまった.罰が当たったんだ」「オリンピックなんてのはな,盛り上がってる国でやったほうがいいんだよ」「そりゃブラジルみんな喜ぶよ,治安を東京並みによくするなんて,これ以上の国際貢献はねぇだろ」と,最後まで「石原節」は健在だ.
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