エイプリルフール
これで電力不足を解消...できたらいいんだけど...
東北地方太平洋沖地震で大きな被害を免れた東京にとって,予想外ともいえる結果だったのは,電力の深刻な不足でした.
首都圏で使う電力のうち,実は相当な割合を福島県や新潟県の原子力発電所に依存しており,今回の地震で福島県の原子力発電所が停止したことから,首都圏の電力供給が不足し,既に計画停電まで始まっています.
このような災害の場合,本来であれば東京電力が被災地の東北電力に電力を融通できるくらいでないといけないのでしょうが,もともと東京電力は東北電力などから融通を受けるほうが常態化していたようで,本来被災地を支えるべき東京が共倒れの可能性さえある様相を呈してきました.
東京電力に言いたいことは山ほどありますが,ここでは面倒なので省略します.
この期に及んで「原子力は安全です」などと誰がどんな口で言うのか知りませんが,仮に原子力の安全性を論証できたとしても,現実問題としては,新たな原子力施設はもちろん既存施設の建て替えでも,受け入れをお願いできる町はないと考えたほうがいいだろうと思います.
原子力発電所がある町には相当な交付金が出て,町の財政のほとんどがそれで成り立っていたという事実があります.しかし,長期にわたって故郷を追われることになるような事故が現実のものとなってしまった以上,お金の問題ではなくなってしまいました.
結局のところ,否が応でも「原発に頼れない場合のシナリオ」も重要な選択肢として考えておかなければいけないということです.
SPAM発電のような技術は夢のまた夢かもしれませんし,自然エネルギも,ベースとなるエネルギになるためにはかなりの年数がかかります.(風力やバイオマスの電気を買っている私たちが言うのもおかしいのですが...)
電力の不足は,相当な期間続くかもしれません.
スイッチを入れれば必要なだけ電気が使える状況から,譲り合って使わないと停電が避けられない状況になってしまったということなのです.
今回の震災は,電気の需要が増えれば誰かがどこかに発電所を作ってくれた時代が終わり,私たちがエネルギの問題に関心を持っていく転機となりました.原子力発電の将来をどうしていくのか,エネルギ全体をどう考えていくのか,国民が考えて決めることになった,ということです.
当面は徹底した節電と需要シフトが必要になるのでしょうが,先進国では珍しい電力の不足を新たな課題として産業を復興させることができれば,世界に類を見ない環境大国になれるでしょう.
その第一歩として,遅きに失したとはいえ,私たちの1人1人が,1つでも多くのことを今回の電力不足から学ぶようにしたいものです.
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