ITの利活用および江戸時代の生活様式の復活による通勤ラッシュ対策ソリューションの開発について
弊社では,IT(情報技術)の利活用および江戸時代の生活様式の復活による通勤ラッシュ対策ソリューションを開発いたしました.
すでに一連の技術について特許を出願するとともに,関係の諸方面に対し採用を呼びかけてまいります.
わが国の大都市の現状
わが国の人口は2005年を境についに減少に転じ,マスコミ等でも「どうする少子化」などの特集が繰り返し行われています.識者は「子どもを産む機械の開発に全力をあげて取り組むべきだとの決意は理解するが,その前に科学教育を抜本的に改革し,機械を作る子どもを育成するほうがよい.間違っても,学校教育の場で子どもを作る子どもを育成しないように.」などと,私たち一般人にはなかなか理解できない崇高な議論を繰り広げており,やはり少子化はなかなか止まらないだろうとの見解が支配的となっています.(なお,「子どもを産む機械」の開発は22世紀までかかるうえ,開発直後に重大な欠陥が発見される予定です.詳細は「ドラえもん」単行本第8巻を参照.)
しかし,こうした日本全体の状況とは裏腹に,東京都の人口は当面増加を続けることが見込まれています.都心部だけでなく東京の郊外には今でもマンション建設が続き,都市の過密化や通勤ラッシュはおよそ改善しているようには思えません.
特に通勤ラッシュの問題はいまだ深刻で,弊社の近くを走る東急田園都市線(旧・東急新玉川線)は「混雑日本一」の栄誉に輝いただけでなく,沿線の人口は2025年頃まで増えつづけるとの予測まで示され,今後も更なる繁盛が期待されています.
弊社の近くを走る東急田園都市線
田園都市線のあまりの繁盛ぶりにあやかろうとした大手電機メーカが「田園都市線の混雑にも耐えられる」という触れ込みの装甲ノートパソコンを販売するなど,ビジネスチャンスの拡大にもつながっています.
このような状況に,乗客の中には「車内にダイエットに関する商品や役務の広告がたくさん出ているのは,混雑緩和の手段がそれしか残されていないからだ.」などという,大変口の悪い人もいるほどです.
東急田園都市線に限らず,混雑の激しい路線では慢性的な遅延運行が起こり,それが輸送力の低下になってさらに混雑に拍車をかけるという悪循環も起こっています.
(なお,この現状は,会社で重要な用事がある場合は電車の遅延を見越して家を早めに出なければならない,帰りの電車も混雑でよく遅れるなど,家庭におけるふれあいの時間を減少させることから,長期的には沿線人口の減少による混雑緩和の効果を持つことが指摘されています.)
困ったときは,江戸時代の先人の知恵を頼ろう
このように過密化した都市はさまざまな問題を抱えておりますが,そうはいっても東京は便利であり,実は通勤に伴う問題が解決するだけでも都市の魅力は相当向上するのではないかと考えられます.
弊社は,都市の諸問題の多くを占める通勤電車の問題を一挙に解決することができないか,かねてより技術的検討を進めてまいりました.
その過程で,東京の前身である江戸にまで研究の幅を広げることで,1つの解決を見出すことができました.
ご承知のとおり,江戸は一説によると世界一の人口を誇った大都市であり,すでに大量輸送機関が存在したことが知られています.(首都高速都心環状線は当時の運河と概ね同じ場所を通っているといわれています.また,都営大江戸線は平賀源内が計画したものの5千万両ともいわれた建設費の調達ができず頓挫した「江戸メトロ」の計画を概ね踏襲していると言われています.なお,当時の「メトロ」が何を意味したかは不明です.)
江戸時代の技術は非常に先進的であり,特に環境問題や都市問題については現代よりもはるかに先進的なソリューションが確立していたといわれています.近年江戸時代の生活様式が見直されてきていることには,科学的にも大きな合理性があります.「困ったときは,江戸時代の先人の知恵を頼ろう.」これが,21世紀を生きる私たちの合言葉です.
江戸時代の知恵「不定時法」
江戸時代の考え方のうち,弊社が目をつけたのは「不定時法」の考え方です.
不定時法とは,現代に一般的に使われている「定時法」(時間の進み方が常に等しい方法)に対し,日によって時間の進み方が異なる考え方です.
江戸時代は,まず1日を夜明けと日暮れで昼と夜に分け,それぞれを6分の1に分けたものを「一刻」と定義していました(昼と夜の時間が同じ日においては,一刻は今の2時間になります).当時は照明が発達しておらず,人々の生活のサイクルが日の出と日没を基準にしていたこと,時計が高価だったため,一年中いつでも日の明るさで概ねの時刻がわかる不定時法が合理的だったのです.
確かに,江戸時代の不定時法は現代の生活になじみません.時計も発達し,暗くなれば照明を煌々と照らすようになって,私たちの生活は太陽の動きに影響されにくくなってしまったため,相対的に定時法の方が便利になってしまったからです.
しかし,不定時法そのものの価値が否定されたわけではありません.太陽の動きを基準とすることが現代の生活に合わず,結果として定時法に移行していったというだけにすぎないからです.
つまり,太陽の動き以上に,さらには定時法以上に私たちの生活のリズムを規定するものがあれば,それを基準にした不定時法を採用することが理にかないます.
不定時法こそ現代の生活にマッチする
現代の私たちの生活のリズムを厳格に規定するもの,それはいうまでもなく通勤電車です.
私たちは通勤電車の時間から逆算して起床し,食事をし,駅に向かい,毎日決まった時刻に運行される電車に乗り,学校や勤め先に向かいます.
電車は決まった時刻に目的地に着き,会社には(寝坊などで電車に乗り遅れない限り)決まった時刻に到着します.そして,仕事が終われば駅に行き,決まった時刻に出る電車に乗り,帰途につきます.
このような生活をしていると,私たちの生活は定時法に準拠していると,つい誤解してしまいがちです.
しかし,私たちの生活が準拠しているのは,定時法の時刻ではなく,実は「定時法の時刻に沿って運行される通勤電車」なのです.
このことは,何らかの理由で電車の運行が遅れた場合に会議の開始が遅くなったり,時には入学試験の開始時刻が繰り下げられることなどからも,容易に理解できると思います.
したがって,現代の生活に本当にマッチするのは,通勤電車の動きを基準にした不定時法であるということができます.後述するように,不定時法には電車の遅れを解消させる効果がありますので,慢性的な遅延が常態化している東急田園都市線の動きを基準にした不定時法を採用することが,現代の都市生活にもっともマッチするといえます.
不定時法を採用するメリット
電車の遅延が解消されます
前述の通り,朝夕の東急田園都市線は,混雑による遅延運行が常態化しています.しかし,田園都市線の動きを基準にした不定時法を採用すれば,例えば「8時30分着の列車が着いた時刻が8時30分」という定義になるわけですから,遅延はすべて解消されます.
生活にゆとりが生まれます
電車の遅延が解消されるため,電車の遅延を見越して早く家を出るような必要はなくなります.
駅に着いてからも,「8時の電車が出る時刻が8時」という定義のため,「電車遅れております,お乗り降りの途中でもドアが閉まります」などと,せき立てられるような無理な乗車をする必要もありません.
また,駅を降りてから必要以上に急いで歩く必要はありません.
このように,朝の時間は相対的にゆっくり進むように感じられるため,貴重な時間が有効に使えます.
夕刻の時間も現在よりもゆっくり進むように感じられます.家族との団らんやふれあいの時間も確保できるようになります.
昼間は密度の濃い仕事ができます
現在,朝はいつも遅れている田園都市線も,10時〜11時を過ぎると概ね定時に走るようになります.運行に余裕ができ,回復運転が始まるからです.
不定時法が採用されると,この間は時間が少し早く進むように感じられます.会社に行ってからの時間や,学校の授業の時間が短く感じられるため,昼間は密度の濃い仕事や学習ができます.
スケジュールの調整や管理が円滑化します
現在は,電車の遅延で会議や行事に人が集まらない場合,その分時間を繰り下げて開始することが行われています.
不定時法になれば,例えば10時に着く電車が着いた時刻が10時という定義になるため,会議や行事の時間をずらす必要もありません.全員が予定通り同じ時間に集まればよいため,スケジュール管理も万全です.
電車の乗り継ぎも円滑化します
電車が遅れたために,乗れるはずの新幹線に乗れなかったという経験がおありの方もいらっしゃると存じます.
不定時法であれば,例えば11時に着く電車が着いた時刻が11時であり,誰がなんと言おうとそれが定義なのですから,乗れるはずの電車に乗り継げないということは絶対になくなります.
電車の運行情報配信が不要になります
各鉄道会社のwebサイトでは,「当社線の運行情報」が掲載されており,PCや携帯電話でいつでも電車の運行状況を確認することができるようになっています.しかし,毎日それを見ながら通勤するのは面倒であり,また,予想以上に電車が遅れてしまった場合は,そのwebサイトもつながりにくくなるという問題を抱えています.
不定時法であれば,時計そのものが運行情報ですから,このような問題はありません.
新しい不定時法を支える技術
このように非常に合理的である「通勤電車の動きを基準にした不定時法」が今まで採用されてこなかったことには,ITの未整備があげられます.
定時法の場合,1台1台の時計を精密に製作すれば,それぞれが単体で常に間違いなく正しい時を刻みます.
また,江戸時代の不定時法の場合も,その日ごとの昼と夜の時間が正しく設定されていれば,単体で正しい時を刻むことができます.(なお,江戸時代でもすでに機械式時計がある程度普及しており,毎日厳密に昼夜の長さをあわせることは煩瑣であったことから,1年を24の節に分け,それぞれごとに基準を設定していました.)
しかし,通勤電車を基準にする場合,基準となる電車の運行状況を正確に把握し,それをすべての時計に伝える技術が必要不可欠となります.江戸時代の知恵を現代に生かすために,現代技術の粋を集める必要があるのです.大変困難なことではありますが,世界一の技術・環境大国であったわが国をはるか昔に築いたわが国の先人を敬い,諸先生方の教えを時代に合う形に昇華させることは,きっとわが国の国際的地位を向上させるに違いありません.
インターネットが利用できる場所の時計であれば,NTPプロトコルを利用し,正確な時刻を配信することができます.しかし,すべての場所でインターネットが使えるわけではありませんし,すべてのデバイスがNTPプロトコルを使えるわけでもありません.
弊社では,次の3点を軸に,新しい不定時法の採用を可能にする道筋をつけることができました.
JJY(電波時計の標準電波)の限界と次世代JJYの開発
時計に正確な時刻情報を配信する手段としてまず思い浮かぶのは,電波時計です.電波時計は,JJYと呼ばれる電波時計用の標準電波を受信することで,正確無比な時刻を刻むことが可能になっています.
しかし,JJYは1分に1回現在時刻を送信するだけで,それ以上細かい時間を配信することはできません.次の1分が定時法では何分になるのかという情報も流せません.また,「何月何日 何時何分」という情報を1分近くかけて伝えているため,電車が回復運転を始めてしまうと,時刻を正確に送れなくなる可能性があります.
そのため,時間の進みが定時法に比べて5%以上早くなった場合は時刻の配信を2分に1回とすることで,現行の電波時計のインフラを維持したまま,概ね正確な時刻を配信できるようになります.
また,秒単位の正確な時刻の配信については,不定時法に対応した次世代のJJYである「DT-JJY」(田園都市線JJY)の規格を策定し,秒単位の正確な時刻を配信できるようになっています.
運行状況の正確な予測技術の開発
すべての時計に運転情報を秒単位でフィードバックすることは困難を伴いますし,そこまで厳密に時間を合わせる必要はありません.
何でも細かく考えすぎて失敗しがちな現代の現代の私たちは,江戸時代の先人たちが,太陽の動きを毎日追い求めるのではなく,1年を24の節に分けて時間を規定したという合理性に学ばなければなりません.
田園都市線の運行状況に合わせた不定時法は,毎分00秒までに,2分後からの1分間の進み方(60秒が定時法で何秒になるか)を決めることで,時刻の配信は1分に1回でよくなっています.これにより,電車の運行状況に時計を合わせるという合理性,秒単位で運転状況をフィードバックしなくてもよい利便性,電車の運転状況と時計の乖離を概ね30秒以内に合わせる正確性を両立させることができます.
しかし,この方法によれば,「田園都市線の2分後の運転状況」を正確に予測することが求められます.
弊社では,田園都市線の指令室から受け取る運行情報だけでなく,各駅に設置したビデオカメラの画像,「車内で口論が発生している」といった,未来の列車の運行に影響を与える可能性がある事象に関する匿名掲示板での実況情報などを解析しつつ,2分後に田園都市線がどのような動きをするかを平均誤差4.6秒の範囲で予測することに成功しました.
なお,予期しない事象(車両故障など)により,2分後の予測が実績と異なる場合もありえます.その場合は,その後の数分を使って時計を実際の運行状況に合わせる仕組みになっています.
NTPプロトコルを使った時刻情報の配信の改良
インターネットで時刻情報を配信する方法としては,NTPプロトコルが広く使われています.
腕時計などでは電波時計が一番よいと思われがちですが,電車は都市部では地下を走ることも多く,肝心の車内で時刻情報の配信が受けられないという問題もあるため,このような状況でも電波時計を補完できるような仕組みが求められます.
すでに一部の携帯電話では,基地局からの時刻信号を端末に読み込み,自動的に時計合わせをする機能が実装されていますし,公衆無線LANを利用する方法も考えられます.
しかし,地下鉄で携帯電話や公衆無線LANが使えるのは,ほとんどの場合駅部に限られています.「つくばエクスプレス」のような最近開業した路線では駅間でも利用できることがありますが,既存の路線にこれら設備を導入することはコスト面でも困難が予想されます.さらに,携帯電話や公衆無線LANは一般的に契約が必要であり,こうした契約をしていない人にとっては新たな出費が増えることを意味します.これでは不定時法の採用に支障をきたします.
この問題については,(1)電車内で時刻情報を配信するサービスを実施する. (2)トンネル内でも駅間が相当長くない限りは誰かの無線機器が近傍の基地局の電波をつかむ可能性が高いことに着目し,その後バケツリレー方式で時刻情報を配信する技術を開発する. (3)そもそも電波が届かないような地下の駅間で電車が止まって足止めを食った場合,電車が動くまで何もできない上に,外と連絡をとることもできないので,時刻情報を受ける意味はないから,配信の必要がない. などの意見が提唱された結果,(2)を実現できれば「u-Japan政策」の成功例として予算の獲得につながると目論んだ中央省庁により,官主導で(2)の技術が開発されることになりました.
なお,この技術は,いわゆる「勝手アプリ」のダウンロードにより,電車内で誰でも無料でWinnyを使えてしまうことになります.弊社は,政府に「ネットワーク上のWinnyを回収し,電力に変換する技術」を供与することで,車内での情報漏えい事件の抑止のために協力してまいります.
今後の展開について
東急田園都市線では,一部区間の複々線化,バイパスルートである大井町線に急行を運転し,都心への所要時間短縮により乗客の転移を見込むなど,さまざまな混雑緩和策が急ピッチで行われています.また,ダイエットに関する商品や役務の広告も引き続き受け付けるようです.
これらの涙ぐましい努力が実り,田園都市線の混雑が緩和すると,それに伴い朝の時間の進み方が早くなります.
そうなると,今度は混雑が深刻な別の路線(例:小田急小田原線,東京メトロ東西線,JR中央線など)で遅延運行が起こるようになることが予想されます.その際時刻の基準を遅れが深刻な路線に変更することで,首都圏の通勤電車の遅延の解消と,それに伴う豊かな都市生活の創生に取り組んでまいります.
お問い合わせ
都市生活を豊かにする不定時法ソリューションについては,以下にてお問い合わせを受け付けています.
newtime@EditNet.co.jp
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